個人事業者の確定申告のポイント

昨年は、消費税率引上げ及び日本で初めての軽減税率制度の導入がありました。今回は、確定申告に影響する主な改正内容に加え、消費税の注意点についてもお伝えします。

(1) 特定事業継続力強化設備等の特別償却制度の創設

近年、大規模な自然災害が全国各地で頻発しています。こうした自然災害は、個々の事業者の経営だけでなく、我が国のサプライチェーン全体にも大きな影響を及ぼすおそれがあります。
 このため、中小事業者の自然災害に対する事前対策(防災・減災対策)を促進するため、中小企業強靭化法において、防災・減災に取り組む中小事業者がその取組を「事業継続力強化計画」としてとりまとめ、国が認定する制度が創設されました。
 また、税法においてもインセンティブとして、青色申告書を提出する個人事業者(中小事業者に限る)が、中小企業等経営強化法に基づく「事業継続力強化計画」等の認定を受け、事業継続力強化設備としてその認定計画に記載された一定の設備(図表1参照)を取得等した場合に、その取得価額の20%の特別償却が適用できる制度が創設されました。
 この制度は、令和元年7月16日から令和3年3月31日までの期間内に、対象設備を取得等し、事業供用する場合に適用されます。

図表1 中小企業防災・減災投資促進税制の対象設備

設備の種類 用途又は細目 取得価額要件
機械装置 自家発電機、排水ポンプ(注) 1台又は1基の取得価額が
100万円以上のもの
器具備品 全ての設備 1台又は1基の取得価額が
30万円以上のもの
建物附属設備 止水板、防火シャッター、
排煙設備等(注)
一の建物附属設備の取得価額が
60万円以上のもの

※ これらと同時に、自然災害の発生が事業活動に与える影響の軽減に資する機能を有するものを含む。

(2)消費税率引上げ及び軽減税率制度導入

令和元年10月1日から消費税率8%から10%への引上げと同時に、軽減税率制度が導入されました。
軽減税率は全ての事業主に影響があり、標準税率(10%)と軽減税率(8%)を区分して経理する必要があります。また、旧税率の8%と軽減税率の8%では内訳が異なりますので、請求書やレシートを基に確認したり、取引先に聞いてみるなどして取引ごとの適用税率を確認の上、経理する必要があります(図表2参照)。
 一方、軽減税率制度が実施された令和元年10月1日以降一定期間、売上げ又は仕入れを軽減税率と標準税率とに区分することが困難な一定の中小事業者(基準期間における課税売上高が5000万円以下の課税事業者)に対し、売上税額又は仕入税額の計算の特例が設けられています。 

図表2 消費税及び地方消費税の税率

区分 適用時期 適用時期 適用時期
  令和元年9月30日まで
 (旧税率)
令和元年10月1日から 令和元年10月1日から
    軽減税率 標準税率
消費税率(国税) 6.3% 6.24% 7.8%
地方消費税率(地方税) 1.7% 1.76% 2.2%
合計 8.0% 8.0% 10.0%

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