従業員に支給の食事・記念品と源泉徴収
飲食店を経営している場合や、従業員に対して食事を提供している場合など、従業員に対して、お店で作った料理を賄いとして無償で提供している場合があります。また、お店のオープンから10周年を迎えたため、記念品として全従業員にカタログギフト(大体3,000円程度)を支給する場合があります。 これらの賄の提供やカタログギフトの支給について、従業員に対する給与として所得税を源泉徴収しなければならないかが問題となります。
(1)従業員に支給される食事
従業員に支給される食事及びカタログギフトについては、従業員に対する給与として、所得税を源泉徴収する必要があります。
所得税法上、金銭以外の物又は権利その他経済的な利益を得た場合には、これらの価額をもって、その年の収入金額に含めることとされています。
従って、給与が金銭ではなく、食事等の現物によって支給された場合(以下、「現物給与」といいます。)であっても、原則として給与所得の収入金額とされます。
※源泉徴収税額について
毎月の給与計算では、社会保険料控除後の給与に応じて「給与所得の源泉徴収税額表」を参照することで、源泉徴収月額が分かります。扶養控除等申請書の提出がある従業員の場合には「甲」の欄、提出のない従業員の場合には「乙」の欄にて税額を参照します。
平成30年度の源泉徴収税額(月額表)では、その月の社会保険料等控除後の給与等の金額が
88,000円未満であれば、扶養親族等がいなくても源泉税額は0となります。
(2)現物給与の収入金額
現物給与の収入金額がいくらであるか計算する方法は、現物給与の種類によって様々ですが、このようにお店で調理された食事を提供する場合、その食事の材料や調味料といった、食事を作るために直接要した費用の合計額(以下、「食事の価額」といいます)を現物給与の収入金額とすることとされています。
カタログギフトのように、お店で一般的に販売されない物品を従業員に支給する場合、その物品が通常売買される価額(前頁の場合では、3,000円程度)を、現物給与の収入金額とすることが妥当であると考えられます。
(3)例外の場合
現物給与は、給与として課税されるのが原則ですが、福利厚生の一環として支給されている面があるほか、支給を受けた者にとって選択制に乏しく、換金が困難である側面であることから、例外として、一定の場合には課税しなくてもよいとされています。
① 従業員に対する支給
1) 従業員が食事の価額の半額以上を負担していること、かつ
2) 食事の価額から従業員が負担した金額を控除した金額が月額3,500円以下である場合
② 記念品等の支給
創業記念や工事完成記念の際に、従業員へ記念品を支給する場合、以下の全てを満たす場合には課税しなくてもよいとされています。
1) 金銭や有価証券の支給ではないこと
2) 各人が記念品を自由に選択できないこと
3) 社会通念上、記念品としてふさわしいものであること
4) 記念品の処分見込価額が1万円以下であること
5) 創業記念のように、一定期間ごとに到来する記念に際して支給する記念品については、
おおむね5年以上の期間ごとに支給されている。
6) 建築業者等が請負工事の完成等に際して支給するものでないこと
前頁の例では、食事の提供が無償であること、また、カタログギフトによる記念品の支給は、従業員が記念品を自由に選択することができることから、いずれも、従業員に対する給与として所得税を源泉徴収する必要があります。
(4)通勤費について
これまでは、従業員に支給する食事やカタログギフトについて見てきました。ここでは、通勤費の給与課税について少し見ていきます。
通勤費について、関わってくる税金は、所得税、社会保険・労働保険、そして会社の損金があります。通勤費の非課税に関係するのは、「所得税」であり、社会保険・労働保険、及び会社の損金に関しては、非課税は関係ありません。
通勤費は給与計算において限度額までは「非課税交通費」として処理します。
非課税とは簡単にいうと、課税しないお金、すなわち給与計算時に給与に含めないお金ということになります。
会社は毎月給与から源泉徴収(給与天引き)しますが、非課税通勤費を誤って課税通勤費にしてしまうと所得が増えて所得税などの金額が変わってしまうので注意が必要です。
社長や役員、扶養のパートやアルバイトであっても、通勤に使う交通費については非課税通勤費として給与計算がされます。
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