住民税
住民税とは、お住まいの都道府県や市区町村などの自治体に対して納める地方税のひとつです。地方税は、生活に身近な教育や福祉のほか、清掃事業といった地域密着の公共サービスをまかなうために使われています。住民税には、会社などの法人が負担する「法人住民税」と、個人が負担する「個人住民税」があり、今回は個人住民税について紹介します。
(1)住民税の決まり方
住民税は前年の1月から12月までの所得に応じて決まります。また、所得に応じて決まる「所得割」のほか、一律に課される「均等割」があり、この2つを合わせて住民税と呼びます。住民税の税率は所得割が10%です。内訳は市町村税が6%、道府県民税が4%になっています。住民税の税率の特徴は、所得の額にかかわらず税率が一定という点です。 基本的には住民税の計算方法はどの自治体も同じです。しかし、地方自治体の規定によって課税される所得額が違ったり、独自の税金が上乗せされたりすることもあります。例えば環境保護のための活動財源として課される環境税、森林税がその一つです。
図表1
(2)所得控除と税額控除
住民税にも所得税と同じように課税対象となる所得金額から一定額が控除されます。所得税や住民税には税を納める人の個人的な経済事情を税金の計算に反映させる制度が備わっており、「所得控除」と「税額控除」という2種類に分けることができます。所得控除は、納税する人に「家族がいるか」「家族の人に所得があるか」などの経済事情に応じて税金を反映させるためのもので、主なもので15種類(扶養控除等)あります。収入からこれらの控除額を差し引いた課税所得金額を求め、それらに応じた税率をもとに税額を決めるという流れです。また、控除額は所得税と住民税でそれぞれ異なるものがありますので確認が必要です。 一方、税額控除は、控除額がそのまま直接所得税から差し引くことができる制度です。最終的に計算された所得税額から直接差し引くことができるため所得控除に比べて効果が大きくなります。住宅ローン減税に伴う控除はこれに該当します。
図表2
(3)住民税の支払方法
1.特別徴収 住民税をどのように支払っているのか意識したことがない人もいるかもしれません。会社員の場合は、会社が給与から天引きした住民税を本人に代わって納税します。その年の住民税を、6月から翌年5月までの12回分に分けて分納していることになります。これが「特別徴収」と呼ばれる住民税納付方法です。 住民税は前年の所得に対して課せられものなので、新入社員の住民税天引きが始まるのは入社2年目の6月からです。会社が1月末までに市役所や区役所に出向いて前年の給与額などを報告し、それを元にして税額が決定されます。会社員の場合、納付書は会社に送られるため、目にする機会は少ないかもしれません。
図表3
2.普通徴収 一方、自営業など個人事業主の場合は、毎年2月中旬ごろからおこなう確定申告の内容に基づいて住民税の納税額が決まります。6月には納付書が届くので、それにしたがって、一括もしくは四半期ごとに4回に分割して支払います。これを「普通徴収」と呼びます。
(4)住民税の注意点
扶養内のアルバイト・パートを考えた場合、年収が103万円までなら所得税が課税されることはありませんが、住民税は98万円から納税対象になります。つまり所得税がゼロだとしても、住民税を支払う必要がないとは言い切れません。 また住民税は前年度の所得に対して課税されるという点にも注意が必要です。例えば退職してから再就職しなかった場合など、当年の収入はなくても6月ごろに住民税の納付通知書が届くことになります。前年の収入が元になる住民税の支払いで苦労しないように、住民税の仕組みをよく知って事前準備しておくことが大切です。
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