新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金制度
事業主が申請する雇用調整助成金とは別に、労働者の申請による新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金という制度が開設され、今年の7月1日より受付がスタートしています。今月号では、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金制度について解説いたします。
(1)概要
新型コロナウイルス感染症及びその蔓延防止の措置の影響により休業させられた中小企業の労働者のうち、休業中に賃金(休業手当)を受けることができなかった方に対して、当該労働者の申請により、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金が支給されます。
(2)支援金・給付金の対象者
事業主の指示により休業し当該休業に対して休業手当が受けられない中小事業主に雇用される労働者が対象です。雇用保険に加入していない昼間学生のアルバイトの方であっても、給付金の対象となりま す。なお、休業の前提となる雇用関係がないフリーランスの方は対象となりません。
① 事業主が雇用保険に加入していない場合 ⇒事業主が雇用保険に加入していなくても、対象となります。ただし、一人でも労働者を雇用 している事業所は、一部の事業を除いて労災保険の成立手続きをとる必要があります。事業 主が労災保険の成立手続きを実施していない場合は、労働者からの申請後、事業主に対して 労働局から確認が求められるため留意が必要となります。 ② 新規設置されたばかりの事業所 ⇒令和2年4月1日以降に設置した事業主の事業所において雇用される労働者の休業について は、設置した日の属する月の翌月末(設置した日が月の初日の場合は当該月末)までの間の 休業については対象となりませんが、それ以降の休業については対象となります。 (例えば、6月 15 日に起業している場合、8月1日以降が対象となります。) |
(3)支給金額の算定式
■支給金額の算定式 休業前の1日当たり平均賃金 × 80% (※1)× {各月の日数(30日又は31日) - 就労した又は労働者の事情で休んだ日数}(※2) (※1) 1日当たり支給額(11,000円が上限) (※2) 休業実績 |
休業前賃金日額は原則として、過去6か月のうち任意の3か月分の賃金を 90 で除して算定します。「休業前」の賃金とは休業を開始した月より前に実際に支払われた賃金を指します。例えば、4月からの休業であれば、3月以前に実際に支払われた賃金が休業前の賃金となります。
(例) ●4月 10 日から休業
※下線の3か月を選択
※端数処理は小数点以下切り捨てとなります。 |
当該休業期間中に就労等(申請の対象となる事業所での就労等に限ります。)した場合、就労等日数(4時間以上の就労等であれば1日、4時間未満の就労等であれば 0.5 日)を当該日数から減じて算出します。
(例)全期間休業しており、就労等していない場合
→ 支援金・給付金日額:7,888 円×0.8=6,310 円 ※端数処理は小数点以下切り捨てとなります。
→ 支給額:6,310 円×31 日=195,610 円 ※端数が生じた場合は小数点以下切り捨てとなります。 |
支援金・給付金は非課税のため、所得申告は不要となっております。
労働基準法26条では、業績悪化などによる従業員への休業要請など「使用者の責めに帰すべき事由」で従業員を休業させる場合、平均賃金の60%以上の休業手当を支給しなければならないと規定されています。事業者に対しては、「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の支払いによって休業手当の支払義務が免除されるものではありません」とし、次のように事業者へ要請しています。
労働基準法上、休業手当の要否にかかわらず、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主に対しては、雇用調整助成金が、事業主が支払った休業手当の額に応じて支払われます。 こうしたことも踏まえ、事業主の皆様には、雇用調整助成金をご活用いただき、雇用維持が図られるよう努めていただくようお願いします。 |
(4)添付書類
申請者は、支援金・給付金を受給するにあたり、下記の必要書類を添付する必要があります。
必要書類 (1)支給申請書(様式は、厚生労働省ホームページよりダウンロード) (2)支給要件確認書(様式は、厚生労働省ホームページよりダウンロード) (3)本人確認書類 (4)口座確認書類 (5)休業開始前賃金及び休業期間中の給与を証明できるもの ※事業主の指示による休業であること等の事実を確認するもの。事業主及び労働者それぞれが記入の上、署名 ※事業主の協力が得られない場合は、事業主記入欄が空欄でも受付(労働局から事業主に報告を求める) |
(5)申請方法
当初は郵送のみの受付となっております。オンラインでの受付も準備を進めております。
労働者本人からの申請のほか、事業主を通じて(纏めて)申請することも可能です。
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