所得税の非課税とされる給与
収入が給与所得に該当すると、所得税の課税対象となります。会社に勤める人が会社から支給される金銭や利益の多くは、所得税の課税対象となり税金を納める必要がありますが、一定の支給される金銭や利益については、例外として、非課税とされるものがありますので、解説していきましょう。
(1)通勤手当 役員や従業員等の給与所得者に通常の給与に加算して支給する通勤手当や通勤定期券等は一定 の限度額まで非課税となっています。
(a)電車等の公共交通機関のみでの通勤の場合 電車やバス等の公共交通機関での通勤の場合の非課税となる限度額は、通勤のための運賃、 時間、距離等の事情に照らして、最も経済的かつ合理的な経路および方法で通勤した場合の 通勤定期券等の1ヶ月あたり15万円以下の金額です。
(b)マイカーや自転車等のみで通勤の場合 マイカーや自転車等のみで通勤の場合の非課税となる限度額は、片道の通勤距離によって定め られています。この片道の通勤距離とは、地図上の自宅と会社を結んだ直線の長さではなく、通 勤経路に沿った長さをいいます。
(c) (a)及び(b)との組み合わせでの通勤の場合 電車やバス等の公共交通機関とマイカーや自転車等との組み合わせでの通勤の場合の非課税と なる限度額は、電車やバスなどの交通機関を利用する場合の1ヶ月間の通勤定期券等の金額と、 マイカーや自転車などを使って通勤する片道の距離で決まっている1か月当たりの非課税となる 限度額の合計額のうち15万円以下の金額です。
各通勤距離に対する1ヶ月あたりの非課税限度額は、下表のように定められています。
(参考)国税庁 通勤手当の非課税限度額
(2)出張手当 転勤や出張等のための旅費のうち、通常必要と認められるものは非課税となっています。これ には業務に必要と認められる交通費、宿泊費等の実費が領収書等で確認できるものの他、社内の 出張旅費規定によって定められた日当も非課税に該当をします。
(3)宿直・日直料 正規の勤務時間外において宿直や日直について支給する金額については、給与等として課税さ れます。 ただし、次に該当するなどの宿直料又は日直料を除き、その支給の基因となった勤務1回につ き支給される金額(宿直等の勤務をすることにより支給される食事の価額を除きます。) のう ち、4,000円(宿直等の勤務をすることにより支給する食事がある場合には、4,000円からそ の食事の価額を控除した残額)までの部分は課税されません。 ・宿直又は日直のために雇用された者への支給 ・宿直又は日直の勤務をその者の通常の勤務時間内の勤務として行った者に支給される宿直料 又は日直料 ・通常の給与等の額に比例した金額により支給される宿直料又は日直料
(4)在宅勤務手当 在宅勤務に通常必要な費用について、その費用の実費相当額を精算する方法で、従業員に対し て支給する一定の金銭については課税されません。 なお、企業が従業員に在宅勤務手当(従業員が在宅勤務に通常必要な費用として使用しなかっ た場合でも、その金銭を企業に返還する必要がないもの(例えば、会社が従業員に毎月5,000円を 渡切りで支給するもの)) を支給した場合は、給与として課税する必要があります。
(5)祝金等 結婚、出産等の祝金品は、その金額が支給を受ける役員又は従業員の地位などに照らして、社 会通念上相当と認められるものであれば課税されません。
(6)見舞金 葬祭料、香典、災害等の見舞金は、金額が支給を受ける役員又は従業員の地位などに照らし、 社会通念上相当と認められるものであれば課税されません。
(7)死亡退職者の給与等 死亡した者に係る給与や退職金で、その死亡後に支給期の到来するもののうち、相続税法の規 定により相続税の課税価格計算の基礎に算入されるものについては、所得税は課税されません。
(8)技術や知識の習得費用 役員や従業員に、仕事に関係のある技術や知識を習得させるための費用を支給する場合、役員 または従業員としての職務に直接必要な技術や知識を習得させ、または免許や資格を取得させる ための研修会、講習会等の出席費用または大学等の聴講費用に充てるための費用として適正なも のについては非課税となります。
(9)海外渡航費 役員又は従業員に対して海外渡航のために支給する旅費等は、非課税とされます。 ただし、その海外渡航中に観光が含まれる場合には、観光に係る費用の部分を按分して非課税対 象から外すことになります。
(10)社宅や寮費 従業員に社宅や寮などを貸与する場合には、1ヶ月当たり一定額の家賃(賃貸料相当額)以上を 受け取っていれば、課税されません。
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