建設業の社会保険加入
最近多くの建設業者の方々から社会保険加入に関するご相談が増えてきております。何故建設業において社会保険加入が必須なのか、以下において具体的にご説明いたします。
(1) 建設業の社会保険加入対策
① 公共工事の受注に社会保険加入の厳格化
国土交通省は、社会保険の未加入業者が多いことが、建設業界に若手の人材が集まりにくい要因の1つとなることを懸念し、社会保険を管轄する厚生労働省と連携して、社会保険の加入対策を進めております。
2015年8月からは、入札公告を伴う工事で、元請業者が社会保険未加入の業者と一次下請け契約を結ぶことが禁止されました。
また、公共工事の入札のためには、「経営事項審査」を受ける必要があります。これは、建設事業者の「経営状況」「経営規模」などを数値化して評価する審査ですが、その項目のひとつとして、社会保険への加入の有無があります。社会保険に加入していないとこの項目で減点されてしまうため、審査結果の数値がその分低くなってしまうのです。
② 建設業の一人親方
建設業では、企業に雇用されず、元請業者と直接契約して仕事を請け負う大工やとび、左官などの「一人親方」と呼ばれる職人が多いのも特徴です。一人親方は、個人事業主として、国民年金と国民健康保険への加入が義務付けられております。
(2) 建設業の社会保険未加入問題
① 仕事の受注に影響
社会保険の未加入業者は、公共工事の受注で一次下請け契約ができなくなり、公共工事の入札で不利な扱いを受けることになります。さらに、2017年以降については、「社会保険に未加入の業者との契約をするべきではない」「未加入の作業員の現場入場を認めるべきではない」との国土交通省の見解も出されております。社会保険の未加入は、建設業者の受注に大きく影響してきます。
② 採用に影響
ハローワークでは、社会保険に加入していない場合、求人票を受け付けず、加入するように指導が入ります。社会保険に未加入の事業者は、採用自体も不利になります。
③ 生活の面での影響
勤務先が社会保険に未加入で、個人で国民健康保険や国民年金を支払っていない場合は、健全な生活を維持することに影響を及ぼします。健康保険に加入していない場合、病気にかかったりケガをしたりした場合に、全額自己負担となり費用負担が大きくなります。
(3) 建設業の社会保険加入要件
建設業では、株式会社などの法人と個人経営の事業所のうち、常時使用する労働者が5人以上の場合は、雇用保険と健康保険、厚生年金への加入が義務付けられています。5人以下であれば、雇用保険以外は必須ではありません。
(※1)国民年金・厚生年金の加入も一定年齢まで加入が義務付けられております。
(※2)労働者と認められる場合、他の労働者と同様、健康保険・厚生年金・雇用保険に加入させる必要があります。
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