算定基礎届

皆さまは本年度の算定基礎届を提出済だと思います。

 給与計算をされている担当者の方はご存知かと思います。算定基礎届は、毎年7月1日から10日までに、日本年金機構の都道府県ごとの事務センター又は管轄の年金事務所に提出します。厚生年金基金や企業年金基金、健康保険組合に加入している事業所は、そちらにも決められた様式で提出します。

 今回は、この算定基礎届について簡単にご説明いたします。

(1)算定基礎届とは

事業者は、毎年46月に支払われた給与等の平均月額をもとに、「標準報酬月額」を計算し、保険者へ届け出ることになっています。この届け出る書類が「算定基礎届」です。
 算定基礎届の提出により、その年の9月から翌年の8月まで1年間使用される標準報酬月額が決定され、その額に応じて社会保険料を負担します。
 決定した標準報酬月額は、社会保険料の計算の基礎のほか、傷病手当金や出産手当金など健康保険の現金給付、厚生年金の「報酬比例の年金額」の計算の基礎としても使われます。

※「標準報酬月額」とは、健康保険や厚生年金保険の保険料・保険給付の算定の基礎となる標準報酬のことで、健康保険は5万8000円から121万円までの47等級、厚生年金は9万8000円から62万円までの30等級に区分されています。

 

(2)標準報酬月額の「定時決定」

  1年に1回、保険者が標準報酬月額を決め直すことを「定時決定」、定時決定を待たずに標準報酬月額を改定することを「随時改定」といいます。
 標準報酬月額の計算には、残業代や各種手当も算定対象に含まれます。毎月変動する給与額をその都度計算するのは手間のため、「標準報酬月額」として固定します。ただし、基本給が算定対象である基本給や手当、残業代は時が経過するにつれて変わる可能性も高くなるため、標準報酬月額の固定は原則1年間とし、毎年1回定時決定という形で見直すことで、実際に従業員が受け取っている給与と標準報酬月額とが大きくズレてしまうことを防いでいます。

 

(3)標準報酬月額の算定

標準報酬月額の算定対象となる期間は4月、5月、6月の3ヶ月です。毎年7月1日現在でその事業所に使用されているすべての被保険者について、この3ヶ月の報酬総額を3で割って報酬月額を算定します。

<標準報酬月額の算定対象>

 算定基礎の対象となる報酬には、賃金や給料、俸給等、その名称を問わず労働の対償として支払われるものすべてが含まれます。

 賃金には残業代も含むため、4〜6月に残業を多くすると年間の保険料が高くなってしまう可能性がある点に留意が必要です。

 

(4)定時決定の対象

① 対象となる社員

定時決定の対象になるのは、7月1日の時点で被保険者の資格を有する人です。長期欠勤や休職中の人、育児休業や介護休業などを取得している人も含みます。

② 対象とならない社員

6月1日以降に被保険者になった従業員は、資格取得時の決定によって標準報酬月額が翌年8月まで決まっているため、定時決定の対象には含まれません。また、6月30日以前に退職した従業員や、7月に随時改定のための月額変更届を提出する従業員も対象外です。

 随時改定を行うのは、昇給や降給などで給与水準が大きく変わる従業員です。たとえば、4月に昇給があって4~6月に支払われた給与等の平均と現在の標準報酬月額が大きく異なる場合(2等級以上の差)、7月に随時改定が必要になるため定時決定を行いません。

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