法人税申告のポイント(3月決算法人)

令和元年度税制改正における改正事項を中心として、令和2年3月期の法人申告においては、いくつか注意が必要なポイントがあります。今月号では、その中の主な概要を説明します。

(1) みなし大企業の範囲の見直し

中小企業者等は様々な税制上の優遇措置を受けることができます。しかし、単体としては中小企業であっても、大企業のグループ企業であり一定の要件を満たす場合は「みなし大企業」として優遇措置の適用対象から除外されます。
令和元年度税制改正において、この「みなし大企業」の範囲が拡大されています。

①「みなし大企業」の範囲

「みなし大企業」とは、資本金又は出資金1億円以下の法人のうち、図表1のいずれかに該当
 する法人です。

② 大規模法人の範囲を拡大

令和元年度税制改正において、「みなし大企業」の判定に使われる「大規模法人」の範囲が
図表2のとおりに拡大されました。これにより、「みなし大企業」の範囲が拡大しました。

また、「みなし大企業」の判定において、判定対象となる法人の発行済株式又は出資から自己の株式又は出資を除外することになりました。
この改正は平成31年4月1日以後に開始する事業年度から適用されるため、令和2年3月期決算申告においては適用されることになります。

図表1「みなし大企業」の範囲

発行済株式又は出資の2分の1以上を同一の「大規模法人」に所有されている法人
発行済株式又は出資の3分の2以上を「大規模法人」に所有されている法人

図表2「大規模法人」の範囲

資本金又は出資金1億円超えの法人
資本又は出資を有しない、常時使用従業員数1,000人超えの法人
(今回追加)
大法人(※)100%子法人
(今回追加)
100%グループ内の複数の大法人(※)に発行済株式又は出資の全部を保有されている法人

※ 資本金又は出資金5億円以上の法人など

(2)中小企業向け租税特別措置の適用除外措置

実態としては大企業であるのに、資本金1億円以下にすることで、中小企業向けの税制特例を適用しようとすることを防止するための改正が、平成29年度税制改正において行われました。前3事業年度の平均所得が年15億円を超える事業年度においては、法人税関係の中小企業向け租税特別措置が適用できなくなります。ここで注意が必要なのは、適用できなくなるのは「租税特別措置法による」中小企業向け特例措置である、という点です。同じ中小企業向け特別措置であっても「法人税法」によるものは今後も適用可能です。
この改正は平成31年4月1日以後に開始する事業年度から適用されるため、令和2年3月期決算申告には適用されることになります。

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