令和5年度税制改正について

   令和5年度の税制改正で特に影響の大きなインボイス制度について、分かりやすく解説します。インボイス制度とは本年10月より開始となる適格請求書等保存方式のことです。

インボイス制度の見直し

   平成28年度税制改正において、軽減税率導入の是非が議論されました。取引において2種類の税率が混在することとなり、事業者の事務負担増加につながります。また、複数税率の下で仕入税額を正確に計算するためのインボイスも導入する必要が生じます。                                                       インボイス制度において、売り手は適用税率・税額等を別記したインボイスを買い手に交付し、その写しを保存する義務を負うことになりますが、税額計算や消費税の納税義務が免除されている事業者にはこれらの義務を課することができません。したがって、原則として免税事業者からの仕入れについては仕入税額控除ができないこととなります。そのため、仕入先によりますが、免税事業者に課税転換が求められることになります。                                                                                   このような事業者の事務負担に配慮し、軽減税率導入からインボイス制度の開始までに4年間の準備期間を設け、その後も6年間の激変緩和措置を設けることとしました。(図表1)

図表1

令和89月まで

令和119月まで

仕入税額相当額の8

仕入税額相当額の5

仕入税額とみなして控除可能

   この経過措置を周知したことにより、想定以上に課税転換が進むことが見込まれています。こうした状況を受け令和5年度税制改正においては、「課税転換しなかった方への影響緩和策」に加え、「課税転換した場合」の負担軽減措置を新たに設けることとしています。

免税事業者

 

 

インボイス発行事業者を選択

 

 

   令和8年9月30日までの課税期間の3年間、納税額が売上税額の2割に軽減されます。免税事業者から課税転換する場合、消費税の納税義務が発生することにより、年間で売上の約5%分の負担増になる計算でしたが、本改正によりこの負担増を約2%に抑えることができます。消費税分の価格転嫁について、取引先との交渉の余地も広がると思われます。また業種にかかわらず売上・収入を把握するだけで消費税の申告が可能になり、事務負担も大幅に軽減されることとなります。                       次に、一定規模以下の事業者については、経理部門が確立されておらず、インボイスの保存等の経理事務に対応することが困難な場合も多いと想定され、事務負担の軽減措置を別途講じます。         従来、基準期間の課税売上高が5,000 万円以下の事業者については、仕入税額控除にインボイスの保存が不要な簡易課税を選択することができます。しかし、昨今の物価高などの影響で利益率が低下し、課税売上高が5,000万円以下であっても原則課税を選択する事業者や、経営状況悪化のため資産を売却した結果、課税売上高が5,000万円を超えてしまう事業者など、これまで想定していなかったケースが散見されるようになりました。                                                                               このような現状に鑑み、下記の措置が講じられます。

課税売上高が1億円以下の事業者

                                 令和119月までの6年間

1万円未満の課税仕入れについてインボイスの保存がなくとも帳簿のみで仕入税額  控除を可能とする措置が講じられる

 

この軽減措置は、全事業者のうち約9割が対象となる見込み

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