進化する人事労務

(1)働き方改革

 皆様は会社勤めの経験がある方は、自宅から会社まで通勤して、会社で作業をし、ミーティングや会議を実施します。通常は会社にあるタイムカードや出勤簿等に記録します。また、面接には会社に行くことが当たり前でした。
 昨年、安倍政権が最重要テーマと位置付けたおかげで、頻繁に耳にするようになった「働き方改革」。これまで積極的に向き合ってこなかった企業も今年に入って一斉に取り組みをスタートさせ今では空前の働き方改革ブームが巻き起こっております。
 この流れは一過性で終わることなく、今後の日本のスタンダードになっていくと考えられます。

 こうした動きと並行して、企業が今最も熱い視線を投げかけているのが、人事労務部門です。従来、企業のコストセンター(利益が上がらず、コストばかりが計上される部門)と非難されてきた人事労務が今後は企業の生死を握る重要なカギとなっております。
   人事労務関係がこれまでクローズされることはそれほどありませんでした。クローズされるのは経営効率化・経理の効率化など財務の面が主でした。

 それでは、一体どのように人事労務はこれまでと比べて大きく変化したのか、AIと並んで大きく話題となっている近年の人事労務改革について次に見ていくことにしましょう。

 

(2)人事労務の変化

 
① フリーアドレス
 フリーアドレスは、社員がオープンスペース(会社内の自由なスペース)を自由に使って仕事に取り組める新しいオフィス形態のことです。オフィスのダウンサイジング効果や部署・上下関係の枠を超えたコミュニケーション、実務環境を改善できるなどのメリットがあり、昨今注目が集まっています。
 
 私が以前勤めていた監査法人もスタッフ・シニアスタッフは全て、事務所内では場所がないためこのようなフリーアドレスを利用して作業をしておりました。このような形態は監査法人の特徴だと思っていましたが、まさかこのような形態が流行になるとは思いませんでした。
 
 
② リモートワーク
 リモートワークとは、会社には出社しないで、自宅やカフェにて仕事をする勤務形態のことです。テレワークや在宅勤務もほぼ同じ定義です。遠隔(リモート)で支持を受けて仕事を行うので、場所や時間の制約に捉われず、より柔軟な働き方を実践できます。そのため、子育てや介護とも両立しやすい等のメリットがあります。
 
 
③ 1 on 1 ミーティング
 1on 1ミーティングとは、部下と上司が1対1で面と向かって行う定期的な面談のことです。部下が仕事を通じた経験や悩みを話し、上司がフィードバックすることで、やる気や成長を促すことが目的です。関係性の向上や離職率が低下するなどの効果もあり、今、世界的に注目されている人事制度となっております。
 
 やる気や成長を促すという点では、メンター制度も1つだと思います。メンター制度とは、上司が部下に対してある期間、作業や職場の中で指導しながら成長面のみならず、精神面でもサポートをする制度です。私も以前の監査法人でメンター制度を実施したこともあり、私が上司で部下の面倒を見た際に、非常に効率的であると実感いたしました。
 
 
④ 立ち会議
 日本企業では、“会議が仕事の約15%を占める”と言われるが、ムダな会議と時間を減らし、集中力を高める手段として、「立ち会議」が注目を集めています。オフィスの一角でも可能で、広い会議室が不要なのも特徴の1つです。
 
 短時間のミーティングや議題が複雑の場合には、集中力を高めるために効率的ですね。長時間のミーティングは非常に疲れますし、時計も気になりだして段々とミーティングに集中できなくなります。
 
 
⑤ スマホで勤怠管理
 従業員が増えるにつれて煩雑になりがちなのが勤怠管理です。しかし、スマホやPCなどを用いるクラウド勤怠管理の登場により集計作業の負担が軽減されます。複数拠点の勤務状況をリアルタイムで把握できるなど、給与計算に留まらないメリットも大きいです。
 
 
⑥ オンライン面接
 2010年ごろから導入が増えてきたのがオンライン面接です。ビデオ電話で面談したり、応募者が自分で撮影した動画を専用サイトに投稿することで、採用側・応募側ともに時間・労力・費用が抑えられます。
 また、遠隔地での採用も可能になります。わざわざ遠くから面接のためだけに行く手間が省けて効率的ですね。
 
 従業員数が多数いる大・中小企業であれば問題ないと思いますが、小規模零細企業でオンライン面接ではあまりないと思います。小規模零細企業では人を重視するため、社長や人事担当者は面と向かって応募者と話をして今後の会社に必要な人材かどうかを見極める必要があります。
 
 20年程前には考えられなかったような人事労務戦略が現在実施されております。
 皆様も今後の人事労務を進めていく中で、また、新人・中途採用に関してこのような施策をご検討いただけますと幸いです。

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