災害にかかる税制のポイント

 ここ数年、毎年のように大規模災害が発生し、甚大な被害をもたらしています。災害により被害を受けた場合の税制上の措置には、申告・納付期限の延長、納税の猶予等があります。

 2回に渡り措置の内容について説明いたします。

(1) 申告・納付等の期限の延長

 ① 国税(法人税、消費税等)にかかる延長制度

制 度

延長の方法

留意点

地域指定による延長

災害による被害が広い地域に及ぶ場合、国税庁長官が地域と期日を指定して告示する。

●指定された期日までに申告等を行えばよい。個別

 に申請する必要はない。

●被災状況により指定された期日までに申告・納付

   できない場合には、納税者からの申請により災害

   等の理由がやんだ日から2ヶ月以内に限り、期限  

   を再延長することができる。

●事業所が指定地域内であっても、納税地が指定地

   域外である場合には対象とならない。

個別指定による延長

所轄税務署長に「災害による申告・納付等の期限延長申請書」を提出し、期日の指定を受ける。

 

●地域指定による延長が行われていない場合に利用

●災害等の理由がやんだ日から相当の期間内(原則

   として1ヶ月以内)に申請する必要がある。

 ② 法人税にかかる延長制度

 ①のほか、法人税限定の延長制度があり、災害その他のやむを得ない理由により決算が確定しないため、期限までに確定申告書を提出できない場合には申請を行うことにより、所轄税務署長から指定された期日まで提出期限を延長することができます。この制度の適用を受けるには、事業年度終了の日の翌日から45日以内に、決算が確定しない理由や指定を受けようとする期日を記載した「申告期限の延長申請書」を、所轄税務署長に提出することが必要です。

 なお、この制度に基づいて延長された期間については、利子税を納付しなければなりません。 

 

(2) 被災した資産に関する取扱い 

 ① 資産の滅失損失、現状回復費用等の取扱い      

被害を受けた資産

税務上の取扱い

固定資産

●取りこわし、除却、滅失による損失

 取りこわし等の日の属する事業年度の損金の額に算入する。

●現状回復費用:修繕費として損金の額に算入

●修繕費と資本的支出の区分が明らかでない支出:30%を修繕費、残額

 を資本的支出とすることができる。

賃借資産

●修繕等の補修義務がない賃借資産の補修費用は、修繕費として経理し

 たときは、その処理が認められる。

棚卸資産

●商品や製品等の廃棄、滅失による損失は、被害を受けた事業年度の損

 金の額に算入する。

  

 ② 被災代替資産等の特別償却

 特定非常災害として指定された災害により被害を受け、災害発生日からその翌日以後5年を経過する日までの間に被災代替資産等の取得、制作、建設をした場合には、その資産について特別償却が認められます。

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