仮想通貨
最近では某歌手が仮想通貨取引にて疑惑の対象となりました。仮想通貨は一般に目に見える通貨と異なって、目に見えないため、イメージが湧かないのではないでしょうか?現時点で既に仮想通貨の時価総額は、40兆円を超えているといわれています。仮想通貨は、経済だけでなく、社会全体に影響を及ぼしております。
(1)仮想通貨とは
「仮想通貨」について、資金決済法(資金決済に関する法律)が平成28年6月に改正され、改正後の同法において初めて法的に定義され、平成29年3月に公布された消費税法施行令により仮想通貨の譲渡にかかる消費税は非課税となりました。しかしながら、その他の具体的な税務上の取り扱い、会計処理については未整備のままです。
実務界では、大手銀行等が手を組み、円と等価交換できる仮想通貨「Jコイン(仮称)」を扱う新会社が設立されるとの報道もなされております。
「Jコイン」は、「ビットコインなどのように価格が変動せず、あらかじめ、銀行口座にある円をJコインに替えることで、スマートフォンを使ってお店で支払いをしたり、個人の間で代金の受け渡しをすることが可能になり、東京オリンピックが開催される2020年までの実現を目指しております。今や家電量販店のビックカメラではビットコインでの支払いも可能となっており、仮想通貨決済専門のECサイトも存在しております。仮想通貨に対する期待は、今後ますます増えると考えられます。
(2)仮想通貨の用途・種類
仮想通貨は値動きが激しく、仮想通貨への投資によって大きな資産を築いた投資家がいること等が注目され、投機・投資の対象となっています。仮想通貨への投資を開始することを検討されている方も多いのではないでしょうか?
① 決済手段
仮想通貨は、決済手段として使用されている。前頁にて説明したビックカメラのように、レジの端末にて表示されるQRコードを、自己のスマートフォン上のビットコインウォレットで読み取ることによって簡単に決済が完了できます。仮想通貨による決済が可能な店舗はそれほど多くなく、値動きが激しく、決済手段としての利用の広まることの難点となっております。
② 送金手段
銀行送金では、管理者である銀行を経由して送金が行われ、特に複数の仲介者を経由する海外送金時にはそれなりに手数料がかかります。一方、仮想通貨の送金は当事者間で直接行うことができます。したがって、銀行等の仲介者に支払う手数料が不要であるため送金手数料が格安であり、特に海外送金時の利用に利便性があります。インターネットで24時間365日送金可能です。しかしながら、仮想通貨の価格上昇により、手数料の安さというメリットが薄れてしまうことが現状であるといえます。
③ 仮想通貨の種類
仮想通貨には、最も有名なビットコインやアルトコインといった通貨があります。また、銀行が発行する仮想通貨もあります。ビットコインは、銀行が発行する仮想通貨と異なり、管理者が存在せず、キャピタルゲインの取得を目的として、投機・投資の対象となる点に特徴があります。
(3)仮想通貨に関する所得区分
ビットコインは物品の購入等に使用できるものですが、ビットコインを使用することで生じた利益は所得税の課税対象となります。このビットコインを使用することで生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます。ただし、事業所得者が事業用資産としてビットコインを保有し、決済手段として使用している場合、その使用により生じた損益については、事業に付随して生じた所得に該当し、事業所得となります。
(4)損失の取扱い
仮想通貨の取引により、雑所得の金額に損失が生じたとしても、当該損失は、給与所得等の他の所得と通算することができません。所得税法上、他の所得と通算できる所得は、不動産所得、事業所得・譲渡所得・山林所得とされており、雑所得については、これらの所得に該当しません。
(5)仮想通貨の会計処理
わが国における仮想通貨に関する会計基準は、平成30年3月14日に企業会計基準委員会から公表された「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い」(実務対応報告第38号)しか存在しておりません。実務上は、当該報告を参照するか、一部の仮想通貨を取り扱った上場会社の有価証券報告書、四半期報告書、会社のホームページ等で適時開示された情報を参照することになると考えられる。海外の会計基準には、国際財務報告基準(IFRS)や米国会計基準(USGAAP)などが挙げられますが、これらにおいても仮想通貨に関する会計基準等の定めはなく、国際的にも明確なルールがないのが現状です。
仮想通貨の売却損益の認識時点は、売買の合意が成立した時点において認識されます。仮想通貨交換業者又は仮想通貨利用者が保有する仮想通貨については、期末においてその仮想通貨に「活発な市場」が存在する場合、その市場価格に基づく価額(時価)で計上し、帳簿価額との差額を損益計上することとされています。
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