所得税の確定申告

(1)所得税の確定申告とは?

毎年2月中旬ごろから3月15日までは、確定申告のシーズンのため、税務署や税理士、会計事務所は大忙しとなります。しかしながら、確定申告はよく聞くけど、自分が対象者かどうか、申告が必要な所得があるかどうかが分からないという相談者も多いのが現状です。1年前のニュースレター第18号でも記載しておりますが、今号も確定申告に関する基本的な事項について解説いたします。

 「所得税等の確定申告」は、1月1日から12月31日までの1年間に生じた全ての所得の金額とそれに対する所得税等の額を計算し、申告期限までに確定申告書を提出して、源泉徴収された税金や予定納税で納めた税金等との過不足を精算する手続です。

(2)確定申告の対象者(給与所得者)

確定申告の対象者は、個人事業主や公的年金等受給者だけではありません。会社員のように、給与所得者でも下記に当てはまる場合には、確定申告書を提出する必要があります。

(1) 給与の収入金額が2,000万円を超える
(2) 給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金
   額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える
(3) 給与を2か所以上から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整
     しなかった給与の収入金額と、各種所得金額(給与所得、退職所得を除く。)との合計額が20万円を超える
(4) 同族会社の役員やその親族などで、その同族会社からの給与のほかに、貸付金の利子、店舗・工場などの
       賃貸料、機械・器具の使用料などの支払を受けた
(5) 給与について、災害減免法により所得税等の源泉徴収税額の徴収猶予や還付を受けた
(6) 在日の外国公館に勤務する方や家事使用人の方などで、給与の支払を受ける際に所得税等を源泉 徴収されな
   いこととなっている

 

(3)年金所得者に係る確定申告不要制度について

下記に該当する方は、計算結果、納税額がある場合でも、確定申告書の提出は不要となります。  ① 公的年金等の収入金額が400万円以下
② 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下                   上記に該当する方でも、確定申告をすれば税金が戻る場合は、還付申告を行うことができます  (下記(4)参照)。

(4)確定申告をすれば税金が戻る方

下記のいずれかに該当する方は、源泉徴収された税額や税金が納めすぎている場合は、還付を受けるための申告(還付申告)により還付されます。

1. 2020年度中に住宅ローンを借りた場合
2. 給与所得者で医療費控除(年間の医療費が家族と合算して10万以上)が受けられる方
3. 株や投資信託で大損した場合
4. 年の途中で退職した後、再就職しなかった場合
5. 災害や盗難などで資産に被害を受けた場合(雑損控除)
6. 5団体を超える自治体にふるさとの納税を行った方、又は特定の団体等に寄付金を行った方
7. 公的年金受給者の方で、生命保険料控除、地震保険料控除等を受けられる方

 

(5)確定申告の提出方法

確定申告書の提出方法は以下のいずれかの方法で提出が可能です。
 ① e-Taxで申告
  国税庁ホームページで作成した申告書等は、e-Taxにより送信できます。
 ② 郵便又は信書便により、住所地等の所轄税務署に送付                                                        ③ 住所地等の所轄税務署の受付に提出
   税務署の時間外収受箱への投函により、提出することもできます。

確定申告の提出時期は、令和2年2月17日(月)から同年3月16日(月)までとなっております。

(6)ふるさと納税

① ふるさと納税とは

ふるさと納税とは、自分の選んだ自治体に寄附(ふるさと納税)を行った場合に、寄附額のうち2,000円を越える部分について、所得税と住民税から原則として全額が控除される制度です   (一定の上限はあります。)。                               例えば、年収600万円の給与所得者の方で扶養家族が配偶者のみの場合、30,000円のふるさと納税を行うと、2,000円を超える部分である30,000円(30,000円-2,000円)が所得税と住民税から控除されます。また、自分の生まれ故郷だけでなく、お世話になった自治体や応援したい自治体等、どの自治体でもふるさと納税の対象になります。

適用上限額

所得税の控除額 

住民税の控除額    (基本分)

住民税の控除額   (特例分)

2000円(控除外)

(ふるさと納税額ー2000円)×所得税率

(ふるさと納税額ー2000円)×住民税率(10%)

住民所得額の2割を限度

② 控除を受けるために

控除を受けるためには、原則としてふるさと納税を行った翌年に確定申告を行う必要があります。ただし、平成27年4月1日から、確定申告の不要な給与所得者等は、ふるさと納税先の自治体数が5団体以内である場合に限り、ふるさと納税を行った各自治体に申請することで確定申告が不要になる「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が始まりました。

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