令和2年度 税制改正について (個人関係)

令和年2年度の税制改正は、①デフレ脱却と経済再生、②中小企業等の支援、③経済のグローバル化・デジタル化の対応、④経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直し、⑤円滑・適正な納税のための環境整備といった基本的な考え方に基づいて、制度の新設、改正、廃止がなされました。これらの中から、個人事業者に影響を及ぼす項目について解説します。

(1)中小事業者等の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特別措置の延長

①   この制度は、青色申告書を提出する中小事業者等が、30万円未満の減価償却資産を取得した場合に、1年間合計300万円までを限度にいわゆる即時償却(全額必要経費算入)を可能とするものです。

  今回の改正では、償却資産の管理や申告手続きなどの事務負担の軽減及び少額減価償却資

  産の取得促進による事務処理能力・事業効率の向上を図る目的から、適用対象者を常時使用

 する従業員の数が500人以下の個人に限定した上で、適用期間が2年(令和4年3月31日で)

  延長されました。

②    個人事業者の令和2年の減価償却資産の取扱いは、図表1のようになります。

図表1 減価償却資産の取り扱い

取得価額

償却方法

注意点

10万円未満

全額必要経費算入

(即時償却)

                ー

20万円未満

3年で均等償却

毎年三分の一ずつ必要経費算入

 (残存価額なし)

30万円未満

全額必要経費算入

(即時償却)

・青色申告が要件

・1年合計300万円まで

30万円以上

定額法、定率法等

        ー

③ この規定の適用を受けるためには「少額償却資産の取得価額に関する明細書」の提出が要

  件とされていますが、いわゆる「青色申告決算書」の「減価償却費の計算」欄に、①この

  規定を適用していること、②適用した減価償却資産の合計額、③適用した減価償却資産の

  明細を別途保管していることを記載することで、明細書の提出を省略することもできます。

(2)源泉徴収における推計課税の導入

① 改正の趣旨

申告所得税には推計課税の規定がありますが、源泉徴収については明示的な規定はありませんでした。一方で、個人事業者等への税務調査において帳簿書類の提示がないなどの理由により、従業員ごとの給与の支給金額が判明せず、源泉所得税の徴収が困難になる事例も散見されました。そこで、推計による源泉所得税の徴収が明確化されました。

  ② 改正の内容

税務署長は、個人事業者等における従業員別の給与の支払金額の推計が困難である場合には、各従業員に同じ額の給与を支払ったものとみなして所得税を徴収できることとされました。なお、青色申告書を提出した個人事業者は、この対象から除かれています。

 この改正は、令和311日以後に支払われる給与等について適用されます。

 

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