年始の提出書類
年始は、税務署及び市区町村に提出する書類の作成が集中する時期です。この時期に作業をスムーズに進めるためにも、それらの概要を知っておくことが大切です。
給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表
「法定調書」とは、種類ごとに該当する人員の合計や支払った額の合計、源泉徴収した税の総額などを記載した書類です。法定調書とは、税法により税務署への提出が義務付けられている書類です。全てを挙げると60種類に及びます。その中で「法定調書合計表」の中にまとめるのは、以下の6項目です。
(1)給与所得の源泉徴収票 給与所得者に対して1年間に支払う給与や源泉徴収税額、社会保険料控除などの所得控除に関する情報を書いていきます。源泉徴収票の提出については、「一般の従業員であれば支払金額が500万円を超えるもの」など、人によって条件が変わり、範囲が決められているので注意しましょう。
(2)退職所得の源泉徴収票 退職金の支払いをする時に、その金額や控除額を記載するものです。
(3)報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書 原稿料・講演料や税理士・弁護士への報酬のように、源泉徴収対象となる報酬や支払いをする際に必要な書類です。講師を招聘してセミナーを開催していたり、社外のデザイナーなどに仕事を依頼したりしている場合に作成が必要です。その人に対して支払った1年間の総額と税額を書きます。税務署へは、通常一人あたり5万円を超える場合に提出が必要です。
(4)不動産の使用料等の支払調書 不動産に関する支払いをする法人と、不動産業者が提出します。土地や建物の賃借料だけでなく、地上権、礼金、更新料なども含まれます。土地・建物だけでなく、船舶や航空機の借受についても範囲に含まれています。対象となるのは同一の人に対する1月から12月の支払合計が15万円を超える場合です。
(5)不動産の譲受けの対価の支払調書 不動産を購入した法人と、不動産業者が提出します。対象となるのは同一の人に対する年間の支払合計が100万円を超える場合です。不動産業者の中で、賃貸借の代理や仲介が主な事業を営んでいる方は、提出の必要はありません。
(6)不動産の売買又は貸付のあっせん手数料の支払調書 不動産などの売買・貸付のあっせん手数料を支払う法人と、不動産業者が 提出します。仲介手数料を支払った場合、と考えるとわかりやすいです。対 象となるのは同一の人に対する年間の支払合計が15万円を超える場合です。
一般的に、(1)及び(3)については記入が必要な事業主が多いでしょう。 上記6つの法定調書の作成が必要な事業主は、1月31日までに前年分の支払いについてまとめ、法定調書合計表と合わせて所轄の税務署へ提出をします。
給与支払報告書
「給与支払報告書」とは、従業員に給与を支払った場合、給与を支払った事業所が従業員の住んでいる市区町村に提出する書類のことです。 給与支払報告書の提出によって、住民税や国民健康保険の金額が決定します。
前年1月1日時点で在籍している従業員全員分の書類を作成し、1月31日までに提出する必要があります。
例えば、令和3年1月~令和3年12月の給与について、令和3年1月1日に在籍している全員を対象として、令和4年1月31日までに提出する、ということです。
(1)個別明細書 個別明細書とは、従業員等一人ごとに作成する明細書のことをいいます。個人別明細書には、給与を受ける者の氏名、住所、生年月日、給与の金額、保険料控除の金額などが記載されています。個人別明細書に記載されている内容は源泉徴収票とほぼ同じです。
(2)総括表 総括表とは、個人別明細書を提出すべき市区町村ごとに作成する書類のことをいいます。総括表には、給与の支払者の名称、給与の受給者の人数、個人別明細書を作成した従業員の人数などが記載されています。総括表は「個人別明細表の表紙」と捉えると分かりやすいです。
(3)給与支払報告書と源泉徴収票の違い 給与支払報告書の「個人別明細」と、「源泉徴収票」にかかれている内容はほぼ同じです。大きく違うのは、書類の提出先と提出対象者です。 提出先について、源泉徴収票の提出先は事業主の本店所在地を所轄する税務署で、給与支払報告書の提出先は従業員等の住所地の市区町村役場です。 提出すべき対象者については、先にも述べましたが、源泉徴収票は年末 調整の有無や支払額によって提出すべき対象者が絞られる一方、給与支払報告書はその年の1月1日時点におけるすべての従業員等の分を作成して提出する必要があります。
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