住民税の特別徴収
給与収入や不動産賃貸などで所得を得ている方は、国に納める「所得税」のほかに都道府県及び市町村に「住民税」を納めなければなりません。 給与所得者が住民税を納付する2つの方法があり、「普通徴収」と「特別徴収」の違い、特に「特別徴収」について解説していきます。
(1)住民税とは
住民税とは、地域の行政サービスの運営に必要な費用をその地域に住む人々が分担して負担する、地方税の一種です。 住民税には、「道府県民税」と「市町村民税」の2種類があります。前年の所得に応じて算出された「道府県民税」と「市町村民税」を合わせて、その年の1月1日時点に住所がある区市町村に納付します。
住民税には「均等割」と「所得割」があり、それぞれ課税方法は異なります。 均等割は、所得に関係なく定額で課税されるものです。地域の公共サービスにかかる費用を、すべての住民で広く負担することを目的としています。 一方、所得割は前年の所得に応じて課税され、所得が多いほど税額も増えます。比例税率が採用されており、政令指定都市の場合、道府県民税 2%、市民税 8%で合計10%です。課税所得は、基礎控除や扶養控除などの各種控除を差し引いた後に算出されます。
(2)普通徴収とは
住民税の納付方法は、特別徴収と普通徴収の2種類があります。 普通徴収は、納税者本人が納付書や口座振替を使って住民税を納める方法です。給与以外の所得がある場合や、副業収入や不動産所得については、普通徴収を選ぶことが可能です。
(3)特別徴収とは
特別徴収は、給与所得のある人が対象で、給与控除した住民税を企業が従業員にかわって代行納付することです。 納付は一年を通しての一連業務となります。年間ルーチンの最初は1月31日までに前年の給与支払額を市町村に届出ることから始まります。届け出した給与の所得をもとに市町村は住民税額を計算し「特別徴収税額通知」で毎月納付する住民税を企業に通知します。 その通知をもとに企業は従業員の給与から住民税を控除して代理納税するのです。
上の図の「1」給与支払報告書を提出していないと「2」特別徴収税額の通知が企業に送付されず特別徴収することができません。住民税の納付額は市町村から自動的に連絡がくるわけではないので注意しましょう。 確定申告をして個人で住民税を納付する届出をしている場合や、主たる給与支払先が他にある場合でない限り5月中に通知書が送付されてきます。給与支払報告書を提出した従業員の通知書が市区町村から届かなければ確認するようにしましょう。
(4)特別徴収を行う際の注意点
1.対象者は全従業員である 特別徴収の対象となるのは、正社員をはじめ、パート、アルバイト、役員を含むすべての従業 員です。また、納付先は会社の所在地ではなく、従業員が居住する市区町村(その年の1月1日現 在の居住地)です。
2.納付期限を過ぎると延滞金が発生する 毎月の給与から控除した住民税は、翌月10日までに納付する必要があります。納付期限を過ぎ ると翌日から延滞金が発生するので注意しましょう。
3.原則として普通徴収への切り替えはできない 原則として、会社や従業員の都合によって特別徴収から普通徴収に切り替えることはできませ ん。ただし、特定の事情がある以下の場合に限り、普通徴収に変更できることがあります。 ・退職者または給与支払報告書を提出する年の5月31日までの退職予定者 ・給与が少なく、市民税・府民税・森林環境税を特別徴収しきれない者 ・給与の支払期間が不定期の者(例:給与の支払が毎月ではない) ・他の給与支払者から支払われる給与から住民税が特別徴収されている者(乙欄適用者)
4.従業員の退職・転職・休職・死亡など 従業員の退職・転職・休職・死亡などによって、住民税の特別徴収ができなくなったときに は、翌月10日までに「給与所得者異動届出書」を市区町村に提出します。退職時に従業員の転職 先が決まっていないときには、「給与所得者異動届出書」に普通徴収へ切り替える旨を記載して 提出しましょう。
(5)住民税の特別徴収は企業の義務
企業には、従業員が納めるべき住民税を給与から控除し、本人に代わって納める「特別徴収」が義務付けられています。給与計算を行う際には忘れずに住民税を控除し、期限までに納付しましょう。
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