社宅(寮)の扱い
(1)社宅と寮の違い
会社から従業員に提供される社宅や寮は、住居関連の福利厚生として導入されている制度です。社宅と寮には、法律的に明確な定めはないようです。 実際に求人サイトの中には寮表記、社宅表記どちらの会社も混在しています。このように表記が異なる理由としては、会社が持つ言葉のイメージが関係していると考えられます。一般的には家族で暮らす住まいを社宅、単身者が暮らす住まいを社員寮と呼ぶ印象が強いため、このように区別されることが多いです。ただ、社員寮のなかには家族寮・カップル寮と呼ばれるタイプもあるため、結局は会社によると言ってよいでしょう。 そのほかの違いとして、社宅では個人がそれぞれ食事や洗濯をするのに対して、寮では共同部屋であったり食堂や共同風呂、ランドリールームなどの共有部分が多い傾向です。
(2)社宅や寮を貸与した場合の処理方法
会社が従業員に対して社宅や寮などを貸与する場合には、従業員は経済的な利益を受けることになるため、原則その社宅や寮の家賃として支払うべき金額に相当する金額は、給与として課税されます。 ただし、従業員から1か月当たり一定額(以下「賃貸料相当額」といいます。)以上、「賃貸料相当額」の50%以上を家賃として会社が受け取っていれば、従業員に給与課税は課されません。
会社が役員に対して無償で貸した場合も、従業員の場合と同じく給与課税となります。 そして、役員から家賃を受け取っていても、その金額が「賃貸料相当額」より低い場合は、「賃貸料相当額」と家賃の差額が給与として課税されます。 使用人の場合と違い、役員社宅の場合は、「賃貸料相当額」についても、社宅の規模により算出方法が異なってきます。
(3)従業員の賃貸料相当額
家賃を経費として計上し、また、給与課税されないために、賃貸料相当額の50%以上の家賃を従業員に負担してもらうことが必要です。「賃貸料相当額」は、以下の計算式から算出します。
1.[その年度の建物の固定資産税の課税標準額]×0.2% 2. 12円×[その建物の総床面積(平方メートル)÷3.3(平方メートル)] 3.[その年度の敷地の固定資産税の課税標準額]×0.22%
1〜3で算出した数字を合計したのが賃貸料相当額です。この金額の50%以上を受領すれば、賃貸料相当額と従業員から受け取る家賃との差額は従業員に対する経済的利益の供与にはならず、給与とはなりません。
(4)役員の賃貸料相当額
役員社宅の場合は、「賃貸料相当額」についても、社宅の規模により算出方法が異なってきます。
1.社宅が小規模な住宅である場合 「賃貸料相当額」は、次の①~③の合計額で算出します。
① (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2% ② 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)÷3.3(平方メートル)) ③ (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%
ここでいう小規模な住宅とは、次にあげる住宅をいいます。
- ●法定耐用年数が30年以下の建物の場合には床面積が132平方メートル以下である住宅
- ●法定耐用年数が30年を超える建物の場合には床面積が99平方メートル以下(区分所有の建物は 共有部分の床面積をあん分し、専用部分の床面積に加えたところで判定。)である住宅
2.社宅が小規模な住宅でない場合
① 自社所有の社宅の場合 次のイとロの合計額の12分の1が「賃貸料相当額」になります。 イ (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×12% ただし、法定耐用年数が30年を超える建物の場合には12%ではなく、10%を 乗じます。 ロ (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×6%
② 他から借り受けた住宅等を貸与する場合 会社が家主に支払う家賃の50%の金額と、上記①で算出した「賃貸料相当額」とのいずれ か多い金額が賃貸料相当額になります。
3.豪華社宅に該当する場合 通常支払うべき使用料の額が「賃貸料相当額」になります。 なお豪華社宅とは、次のようなものをいいます。
- ●床面積が240平方メートルを超えるもののうち、取得価額や支払い賃貸料、内外装の状況から豪 華社宅と判断されるもの
- ●床面積が240平方メートル以下であっても、プール等の設備や、役員個人の趣味嗜好が著しく 反映された設備等から豪華社宅と判断されるもの
また、役員も従業員も同様に、入居者が直接契約して家賃を会社が負担した場合や、住宅手当を 支給した場合は、給与として課税されることになります。
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