資本的支出と修繕費
4月号で資本的支出と修繕費について確認しましたが、今回は二つの事例を見ていきましょう。
事例① 修繕費の範囲(建物の解体移築費用)
A社は、B営業所を移転させることになったため、既存のB営業所建物を解体し、移転先に移築することとしました。 なお、移築後の新営業所用建物には、従前のB営業所建物資材の約60%が再利用されており、その床面積は従前のB営業所建物より2割程度広くなっています。 A社はこの解体移築に要した費用2,000万円を修繕費として処理しています。
検討 本事例における解体移築費用についての修繕費処理は認められず、資本的支出として処理する必要があります。 建物を移えい又は解体移築した場合、(移えい又は解体移築を予定して取得した建物の場合を除きます。)における費用は修繕費として処理することが認められています。 ただし、解体移築においては、旧資材の70%以上がその性質上再利用できる場合であって、その旧資材をそのまま利用して従前の建物を同一の規模及び構造の建物を再建築するものに限り修繕費処理が認められています。 本事例の場合、旧資材の60%しか再利用しておらず、新建物の規模も大きくなっていますので、修繕費処理は認められず、解体移築費用は移築後の建物の取得価格として資産計上する必要があります。
対策 建物を解体移築した場合、 ①旧資材の70%以上を再利用し、 ➁従前の建物と同一の規模・構造の建物を再構築しなければその費用を修繕費処理することが認められませんので注意が必要です。 |
事例➁ 資本的支出と修繕費の区分(災害による復旧費用おける区分)
A社の倉庫用建物が台風により、大きな被害を受けました。そこで、被害を受けた、屋根、壁、柱、床、窓などにつき復旧工事を行いましたが、その復旧工事費用には、資本的支出か修繕費かが明らかでない費用が含まれています。 そこで、A社は簡便的に、その資本的支出か修繕費かが明らかでない費用のうち70%を資本的支出、30%を修繕費と区分して処理しています。
検討 本事例における資本的支出か修繕費かが明らかでない費用については、その70%を資本的支出、30%を修繕費とする処理が認められます。
被災した資産に係る復旧費用については、次のような手順により処理することが認められています。 まず、①被災資産につきその原状を回復するために支出した費用については、修繕費とされます。 また、②被災資産の被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水又は土砂崩れの防止等のための費用についても、法人が修繕費として経理することが認められています。
最後に被災資産について支出した費用(上記①、②に該当する費用を除きます。)のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでないものがある場合において、法人がその金額の30%を修繕費とし、残額を資本的支出として経理することが認められています。 したがって、本事例におけるA社の処理は妥当であると判断されます。
対策 災害により被害を受けた固定資産に係る復旧費用のうち、資本的支出か修繕費かが明らかでない費用については、その30%を修繕費、70%を資本的支出とする処理が認められているということに留意すべきです。 |
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