年末調整と住民税
(1)年末調整とは
「年末調整」は、皆様もご承知のとおり、給与の支払を受ける従業員の一人一人について、毎月(毎日) の給料や賞与などの支払の際に源泉徴収をした税額と、その年の給与の総額について納めなければならない税額(年税額)とを比べて、その過不足額を精算する手続で、給与の源泉徴収の総決算ともいうべきものです。 大部分の給与所得者は、この「年末調整」によってその年の所得税及び復興特別所得税の納税が完了し、改めて確定申告の手続が不要となるため、この年末調整は非常に大切な手続となります。
給料や報酬などについて源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税の納期限は、以下の通りです。 ○ 納期の特例の承認を受けていない場合
給料や報酬などを支払った月の翌月10日
○ 納期の特例の承認を受けている場合(給与など特定の所得に限ります。)
1月から6月までの分 … 7月10日
7月から12月までの分…翌年の1月20日
(注1)納期限までに、e‐Tax を利用するか又は「所得税徴収高計算書(納付書)」を添えて最寄りの 金融機関若しくは所轄の税務署の窓口で忘れずに納付する必要があります。
(注2)納付する税額がない場合であっても、「本税」欄が「0」の所得税徴収高計算書(納付書)を所轄の税務署にe‐Tax により送信又は郵便若しくは信書便により送付又は提出が必要です。
(2)年末調整と住民税
市町村民税、及び道府県民税をあわせて、住民税と呼びます。住民税は地方税に当たります。
なお、個人が納める住民税のことを、正式には「個人住民税」といいますが、これは会社が納める「法人住民税」と区別するための呼び名です。
① 年末調整の所得基準
住民税に関して特に注意しなければいけないのは、「前年分の所得に対して課税」されるものであるという点です。
給与の場合、その月に支払われた給与に応じて所得税が源泉徴収されますが、住民税はその年の1月1日時点での住所において、前年の1年間(1月1日から12月31日)の所得額を対象として課税されます。1月1日が基準とされるため、1月2日以降に引越しをしたとしても、1月1日現在の居住地での納付が必要です。
また、前年の年末調整での所得額が基準となるため、会社を退職して無収入になった場合でも、前年度分の所得を基準とした金額を納めなければならないため、留意が必要です。
② 住民税に関する事項
年末調整に関して会社に提出する書類の1つに、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」があり、申告書の下に住民税に関する事項があります。16歳未満の扶養親族は所得税、住民税の扶養控除ができませんが、扶養親族の数が住民税の均等割と所得割の非課税基準額の算定の際に必要となり、16歳未満の扶養親族数も含めて計算されます。非課税基準額以下であれば、住民税は課税されません。
③ 給与支払報告書
「給与支払報告書」とは、事業者が従業員の上記①の所得を確定し、市区町村に給与支払状況を報告する書類のことです。市区町村はこの書類をもとに新しい住民税額(本年6月~翌年5月まで)を算出するため、期限である1月31日までに必ず提出する必要があります。
「給与支払報告書(個人別明細書)」は、「源泉徴収票」と書式が非常に似ており、一年間の支払金額の総額や給与所得控除後の金額、所得控除額の合計額、源泉徴収税額などが記載されています。
各市町村は、この「給与支払報告書(個人別明細書)」をもとに住民税額を計算し、「特別徴収税額通知書」を発行しています(下記参照)。
(3)特別徴収と普通徴収
住民税の納付方法は、「特別徴収」と「普通徴収」の2つの方法があります。
① 特別徴収
特別徴収は、本人に代わって事業主が納付する方法で、事業主は特別徴収義務者となっています。
1.毎年5月末までに、各市町村より、「特別徴収税額通知書」という各従業員が支払う住民税の一覧表が届きます(2部届くため、1部は切り離して従業員に渡します)
2. 会社は、6月から天引きを始め、その次の年の5月までの1年間において従業員の給与から毎月住民税額を天引きします
3. 天引きした住民税を、給与支払月の翌月10日までに、会社がまとめて各市区町村へ納付します なお、年度の途中で新たに入社した従業員について特別徴収を行う場合は「特別徴収切替届出(依頼)書」の提出が必要です。
② 普通徴収
普通徴収は、個人事業主や年金生活者、退職者など、給与が支給されないために住民税の天引きができない人が対象の納付方法です。
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