令和4年度税制改正について
令和4年度税制改正改正項目のうち個人事業者に関係するもの及びその他のものについて解説します。
(1)適格請求書等保存方式(インボイス制度)の見直し(消費税)
①適格請求書発行事業者の登録の見直し 免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日(6年間)の属する課税期間中に適格請求書発行事業者の登録を受ける場合には、課税事業者選択届出書の提出を不要とし、その登録日(課税期間の途中)から適格請求書発行事業者となることができるようになりました。 なお、この適用により、登録日から課税事業者となる適格請求書発行事業者(その登録日が令和5年10月1日の属する課税期間中である者を除く)のその登録日以後2年間を経過する日の属する課税期間までの各課税期間は事業者免税点制度を適用できず、課税事業者として申告義務があります。
②仕入明細書による仕入税額控除の制限 改正前では、適格請求書発行事業者である個人が、家事用資産の売却等(消費税の不課税売上)を行った場合、売り手の個人は適格請求書(インボイス)を発行することはできませんが、買い手が事業として資産の譲渡等を受けた場合には、家事用資産か否かにかかわらず、課税仕入れに該当することとなるため、買い手は「仕入明細書」を作成することで仕入税額控除ができることになっていました。 改正により、仕入明細書による仕入税額控除は、その課税仕入れが売り手において課税資産の譲渡等に該当する場合に限り、仕入税額控除ができることとされました。 令和5年10月1日以後に国内において事業者が行う資産の譲渡及び課税仕入れについて適用されます。
③棚卸資産に係る消費税額の調整規定の見直し 免税事業者が新たに課税事業者となる場合の棚卸資産に係る消費税額の調整措置について80%又は50%仕入税額控除の経過措置の適用対象となる棚卸資産については、その棚卸資産に係る消費税額の全額を消費税額の調整措置の対象とすることとなりました。 令和5年10月1日以後に国内において事業者が行う課税仕入れに適用されます。
(2)電子帳簿等保存制度における電子取引データの保存についての2年間の宥恕措置
令和3年度税制改正において、「電子帳簿保存法」の改正に伴い、令和4年1月1日以後は、従来認められていた電子取引データの紙出力による書面保存で電子データ保存に代えることができるという措置が廃止されました。 ただし、電子取引データの保存方式への対応が困難な事業者の実情に配慮し、宥恕措置として、令和4年1月1日から令和5年12月31日までの2年間に行う電子取引については、引き続き保存すべき電子データを出力保存し、税務調査等の際に提示・提出できるようにしていれば差し支えないこととされました。
(3) 証拠書類のない簿外経費に対する対応策
税務調査において、証拠書類を提示せずに簿外経費を主張する場合は、その簿外経費が帳簿書類等により明らかに主張できる場合又は取引の相手先や取引の事実が確認できる場合を除き、必要経費に算入することはできません。
(4) 帳簿の提出がない場合等の過少申告加算税等の加重措置
税務調査において、国税庁の職員等から帳簿の提出を求められた場合、①不記帳・不保存であった場合や②収入金額の記載が不十分である場合は、通常課される過少申告加算税・無申告加算税の額に申告漏れ等に係る所得税、又は消費税の10%(又は5%)に相当する金額を加算する措置が講じられます。 令和6年1月1日以後に法定申告期限等が到来する国税について適用されます。
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